壱号ブログ
雨月のブログです。BLサイト「イチゴウニゴウ。」運営中。
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奇跡の海<激ネタバレ>
子どものような純粋な心で神と対話することができるベス。
海底油田採掘場で働くヤンと結婚し、幸福な生活を送っていた。だが、ある日、油田の爆発事故でヤンが全身麻痺になり、ヤンはベスに愛人をつくるよう強要し始めるが…。
厳しい戒律に縛られ、真の信仰を見失っている村人や自らの欲望からベスを追いこんでいくヤンの醜悪さ。何ものにもとらわれない無垢な心で、愛する夫のために命をも差し出すベスの強さが対照的に描かれている。人間がもつ強さや弱さ、醜悪さや気高さを否応なしに突きつけてくる衝撃的な作品。 (アマゾンより)
「奇跡の海」
なんて、あらすじやよそ様の賛否両論の烈しさを読んで一体どんな話なんだろうと借りて見た訳ですが、はっきり言うと私は結構意見の多かった、悲惨で救いようのない話だとは思いませんでした。
だって、この映画凄く愛に溢れていたと思うんですよ。最初から最後まで。
あらすじを読んだ時、自分が全身麻痺になって抱いてやれなくなったからって他の男と寝るように強要するなんてなんて旦那だよ、ベスのこと本当に愛してるのかよ!と思ったものですが、実際に映画を観てみると、そう言わざるをえなかったヤンの辛い心境がひしひしと伝わってきました。
このヤンという人は酷く、懐の広い人だと思います。
「片時も離れていたくないの!」と言わんばかりの烈しすぎるベスからの愛を、うっとおしがることも恐怖し逃げ出すこともなく、優しく包み込みます。
そして、一番ベスのことを真っ直ぐに見詰めて理解し、愛している。
一番親しい義理姉が「あの子は弱い。そして頭が可笑しいの!」という言葉に「違う。彼女は強いんだ。だから、全てを欲しがってしまう」と答える程、とても大事に思ってるんです。
だから、治る見込みのない上にいつ死んでも可笑しくない自分のせいで、ベスの人生を潰したくなかった。別の相手を見つけて、幸せになって欲しかった。
それにこの時、ベスは自分が神に「ヤンを早く戻して下さい」と祈ったから、ヤンが怪我をしたのだと思い込んで、罪悪感に苛まれていました。
そんなベスを置いて自分が死んでしまったら、ベスは自分をどれだけ責めるか分からない。
だから、強引にでも愛人を作れと言ったんだと思います。
お前が他の男とセックスすることで、俺が救われるんだと言って。
しかし、ベスはそれを自分が別の男と寝る(=犠牲)によってヤンが救われる、と解釈して男を誘惑していきます。
で、結果的にこの話は、哀しい結末を迎えます。
ベスは夫の言うとおり、娼婦のように他の男に抱かれていく上で暴行に遭い、ついに命を落としてしまう訳ですから。
しかも、「私は全部間違っていた」と呟いて。
でも、あの時。ベスは初めてヤンの本当の気持ちを理解したんじゃないかと思ったんですよね。
ヤンと同じ立場に置かれて。
だから、「全部間違っていた」と嘆きつつも、ヤンからの愛を強く感じながら死んでいったんじゃないかなぁ。
そう思うと、あのシーンでは涙は出ませんでした。
けれど、その後。奇跡的に回復してベスの亡骸に縋り付き泣く、ヤンのシーンが一番哀しかった。
自分はベスをこんなふうにしたかったんじゃないという気持ちがひしひしと伝わってきまして。
だから、最後にベスを水葬した時、天から鳴り響いた鐘の音。
あれは天国に迎えられていくベスへの神からの祝福などではなくて、ベスからヤンへの祝福だったように思えました。
……ということで、私的には結構好みの話だったと思います。
ベス役の女優さんの演技が素晴らしく、見応えがありましたし。
ただ、おしむらく………どうして、これ吹替版はないんだt…略。
海底油田採掘場で働くヤンと結婚し、幸福な生活を送っていた。だが、ある日、油田の爆発事故でヤンが全身麻痺になり、ヤンはベスに愛人をつくるよう強要し始めるが…。
厳しい戒律に縛られ、真の信仰を見失っている村人や自らの欲望からベスを追いこんでいくヤンの醜悪さ。何ものにもとらわれない無垢な心で、愛する夫のために命をも差し出すベスの強さが対照的に描かれている。人間がもつ強さや弱さ、醜悪さや気高さを否応なしに突きつけてくる衝撃的な作品。 (アマゾンより)
「奇跡の海」
なんて、あらすじやよそ様の賛否両論の烈しさを読んで一体どんな話なんだろうと借りて見た訳ですが、はっきり言うと私は結構意見の多かった、悲惨で救いようのない話だとは思いませんでした。
だって、この映画凄く愛に溢れていたと思うんですよ。最初から最後まで。
あらすじを読んだ時、自分が全身麻痺になって抱いてやれなくなったからって他の男と寝るように強要するなんてなんて旦那だよ、ベスのこと本当に愛してるのかよ!と思ったものですが、実際に映画を観てみると、そう言わざるをえなかったヤンの辛い心境がひしひしと伝わってきました。
このヤンという人は酷く、懐の広い人だと思います。
「片時も離れていたくないの!」と言わんばかりの烈しすぎるベスからの愛を、うっとおしがることも恐怖し逃げ出すこともなく、優しく包み込みます。
そして、一番ベスのことを真っ直ぐに見詰めて理解し、愛している。
一番親しい義理姉が「あの子は弱い。そして頭が可笑しいの!」という言葉に「違う。彼女は強いんだ。だから、全てを欲しがってしまう」と答える程、とても大事に思ってるんです。
だから、治る見込みのない上にいつ死んでも可笑しくない自分のせいで、ベスの人生を潰したくなかった。別の相手を見つけて、幸せになって欲しかった。
それにこの時、ベスは自分が神に「ヤンを早く戻して下さい」と祈ったから、ヤンが怪我をしたのだと思い込んで、罪悪感に苛まれていました。
そんなベスを置いて自分が死んでしまったら、ベスは自分をどれだけ責めるか分からない。
だから、強引にでも愛人を作れと言ったんだと思います。
お前が他の男とセックスすることで、俺が救われるんだと言って。
しかし、ベスはそれを自分が別の男と寝る(=犠牲)によってヤンが救われる、と解釈して男を誘惑していきます。
で、結果的にこの話は、哀しい結末を迎えます。
ベスは夫の言うとおり、娼婦のように他の男に抱かれていく上で暴行に遭い、ついに命を落としてしまう訳ですから。
しかも、「私は全部間違っていた」と呟いて。
でも、あの時。ベスは初めてヤンの本当の気持ちを理解したんじゃないかと思ったんですよね。
ヤンと同じ立場に置かれて。
だから、「全部間違っていた」と嘆きつつも、ヤンからの愛を強く感じながら死んでいったんじゃないかなぁ。
そう思うと、あのシーンでは涙は出ませんでした。
けれど、その後。奇跡的に回復してベスの亡骸に縋り付き泣く、ヤンのシーンが一番哀しかった。
自分はベスをこんなふうにしたかったんじゃないという気持ちがひしひしと伝わってきまして。
だから、最後にベスを水葬した時、天から鳴り響いた鐘の音。
あれは天国に迎えられていくベスへの神からの祝福などではなくて、ベスからヤンへの祝福だったように思えました。
……ということで、私的には結構好みの話だったと思います。
ベス役の女優さんの演技が素晴らしく、見応えがありましたし。
ただ、おしむらく………どうして、これ吹替版はないんだt…略。
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COMMENT
No Title
おそらくひどく酷評される方は、ベスとヤンの愛が見えてないだけだと思います。
形はどうあれ、この二人、相手を思う気持ちは強いです。
この二人の愛を見れていないのは映画でも出てくる周りの演出家たちです。
母も姉も医師も・・。視聴者側では酷評している人もこの演出家と同じ目線だと思います。
ただ、悲しいのは相手を思う気持ちを読み違いし、勘違いしてしまってたベス、そしてその勘違いを予測できなかったヤン。
個人的にとてもいい映画だと思います。
コメントありがとうございます!
古い記事ですが、コメントいただきましてありがとうございます。
この映画、見たのは十年以上前ですが、今でも心に残ってます。
特に、ヤンの優しい眼差し、それから「間違っていた」と呟いた時のべスの表情が印象的です。
あれは言葉以上に雄弁に、相手への想いに溢れていたと思います。
あの眼差しがあったからこそ、二人は深く想い合っているのだと思えたし、べスのあの表情があったから、この話は決して悲惨なわけではないのだと思うことができました。
今思い返してみても、とてもいい映画だと思います。