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雨月のブログです。BLサイト「イチゴウニゴウ。」運営中。

   

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プレステージ(ネタバレ後視聴)激ネタバレ

「 アブラカタブラ… 」 
(意: 「私の言うとおりになれ」 または 「消えてなくなれ」)

theprestige_bigreleaseposter[1].jpg

 ネタバレした後で、この映画を見てしまうとどうしても、邪ァ~なフィルターがかかってしまいます。

 まず、アンジャーですがボーデンに対しての執着心が凄い!

 初めは奥さんの仇として見ていただけだったのに、だんだん彼自身に嵌っていってしまい、愛人から「あなた、彼に恋してるみたい」と指摘され、ついにはボーデンの舞台を一日に何度も見に行くストーカーにまでなっちゃったっていう。どんだけ、ボーデンが好きなんだ、伯爵!

 アンジャーが最後まで分からなかった、ボーデンの瞬間移動の種。
 物凄くシンプルな“替え玉(双子)”が種だった訳ですが……これ、種立案者(?)のカッターが最初に言ってるんですよね。
 なのに、アンジャーは「そんなはずない! あいつのことだから絶対もっと俺たちの想像もつかないようなトリックを使ってるに違いない!」って断固否定。

 ここでアンジャーが、ボーデンをただ奥さんを殺した憎い奴と思ってると同時に彼のマジシャンとしての才能を認めていることが……いや、惚れ込んでます。
 自分は彼よりマジックをより効果的に客に披露するプレゼンテーション能力は圧倒的に優れている。だが、マジック自体の才能は圧倒的に劣る。そう自覚してましたしね。

 けれど、どうしても彼に勝ちたい。出し抜きたい!! 敗北感を味わう彼を見たい。

 故に、彼を憎んではいても忘れることも離れることも出来ず、彼一人に固執していく。
 最初は奥さんを殺された(?)ことへの復讐が目的だったのに、最後は完全にそっちのけ(ってか、この奥さんを縛るシーン。どうも奥さんとボーデンは二人で事前に何か話し合ってたっぽかったな。目配せしてたし)で、瞬間移動でボーデンに勝つことだけにのみ取り憑かれてしまう。
(だって、あの博士に作ってもらった機械。他に色々使い道はあったろうに、瞬間移動マジックのみに用いたところにボーデンへの執着心が現れてるよう…)


 で、一方のボーデン。
 これはもうとにかく、ボーデン兄弟のラブラブッぷりがたまらなかった! と。
 滅茶苦茶兄弟思いな双子たちなのですよ、これがまた。互いに「あいつがいるから俺がいる」って言っちゃってるし。

 性格的にはオリビアを愛した、挑発的で自己啓示欲の強い方(以下、A)サラを愛した、穏やかで優しい天才肌(おそらくこっちがマジックのネタを考えていた)方(以下、B)といる訳ですが、A→Bっぷりがたまりません。

 おそらく、言動からして、アンジャーの奥さんを死に至らしめたのはAで、奥さんの葬式に現れたのはBです。多分、Bがいくら言ってもAが葬式に行かなかったので、仕方なくBが行ったんだろうな。で、Bが謝る訳ですが、アンジャーに奥さんをどう縛ったのかと聞かれて、「分からない」と答えます(だって、Bは知りませんもんね。ってか、前編通してこの兄弟、一言も嘘を言ってないんですよね。それが凄い)
 が、アンジャーがそれで納得する訳がなく(当然と言えば当然ですが)、ボーデンに会いに行き、銃を突きつけ再び問います。
「奥さんをどう縛ったのか」と。が、多分それもBでやっぱり「分からない」と答え、ズドンとやられてしまうと。

 で、葬式に行かないあたり、自分の過失を軽く見てたAは大事な兄弟を危なく殺されかけるわ、自分も指を詰めなきゃならなくなったわで逆上して、アンジャーに仕返し。それで怒ったアンジャーがBが作ったであろうマジックをぱくって、それに怒ったAが・・
と、とどのつまり、いがみ合ってたのはアンジャーとAで、Bはいつもそのとばっちりを食らってたって感じでしょうか。

 こうして考えるとアンジャーが報われない。妨害されるあたり、自分は才能あるボーデンに一目置かれていると思ってたろうに、実際は常に上を行くマジシャンの天才Bには見向きもされず、Aばかりに構われてたって訳ですから。
 が、Aはアンジャーを好敵手として見ていた感があるんですよね。AはB程マジックの才能はないようでしたから(結び目間違えたり、アンジャーのトリックを見破るのは大体Bの役目だったっぽいので)、Bの才能に羨望するアンジャーに何かしら親近感があったのかもしれません。
 とはいえ、AとB二人で一人だ! な思考回路ですから、Bの才能は自分の才能。アンジャーは俺たちより格下。だから、アンジャーが自分たちよりいいマジックをするのは許せない! なんでしょうね。
 だから、歪んではいたけれどいい好敵手として見ていたのではないかと(水槽に溺れたアンジャーを見たとき、必死で助けようとしてましたし)
 そう考えると、アンジャーとこれ以上関わるのは危険だから止めようとAに何度も警告していたBの方が、自分への執着心の凄まじさをきちんと感じ取っていたんだろうなぁ。
 まぁBにとって、アンジャーよりもAと家族を大事に想っていたということもありますが、ここでBがアンジャーとの競争に取り憑かれていくAを見て、アンジャーにちょっとジェラシーとか感じてたら、ツボだな!(←ォイ!)

 けれど、結局。そのいがみ合いの末にAはアンジャーにはめられて絞首刑になる訳ですが、二人の最後の別れのシーンがまたねぇ・・vv
 「泣くな」ってさぁ! やけにこの時のAは男前です。助けてやれなかったと泣くBが罪悪感を抱かないようにと、笑顔で気丈に振る舞って・・ホントにBが大事で大好きだったんだな、A!って感じで。

 そして、「アブラカタブラ」とAが呪文を唱え、死んだと同時にアンジャーの目の前にBが登場して。
(これ、「私の言うとおりになれ」または「消えてなくなれ」という意味らしいんですが、どんな意味をこめて、Aがこの呪文を唱えたのか。ここだけでもあれこれ想像してしまいますよ)

 ここでの冷たくアンジャーを見下ろすBの表情がまた凄い。ってか、アンジャーが哀れ。
必死に自分はマジシャンとしてのプレステージ(偉業)を成し遂げたかった。だからこんなにまで代償を払ったんだと訴えるのが、さながらBへの愛の叫びのようでしたが(←病気)、Bには何も響かなければ、何も届かない。

 って、こうして考えてみると凄い三角関係だな、これ!

 で、このABを一見すると二重人格にしか見えないが、よく見れば完璧に演じ分けているクリスチャン・ベールが凄すぎる! 天才だよ、あんさん!

 と、二回目は完全に腐った目で見てましたv




>ブログweb拍手レス
09月14日 ao様
拍手&かなり腐った考察で申し訳ないのですが(苦笑)コメントいただきましてありがとうございます! この映画、色々と意味深なシーンが多くて、色んな解釈ができますよね。私は、シーンそれぞれの言動(吹替版だとより、今がA、Bどっちか区別しやすかったです)から、妄想を膨らませて↑のように解釈してみました。それを楽しんでいただけたようで、嬉しいです。ありがとうございました!

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