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雨月のブログです。BLサイト「イチゴウニゴウ。」運営中。

   

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乱歩地獄 感想そのニ

何処で手に入れたのか、スケキヨのクリアブックを愛用してる程の横溝・乱歩ファンの職場のおばちゃんに乱歩の話で馬鹿盛り上がりした後で、

おばちゃん「雨月ちゃんぐらいの子は普通、恋愛小説とか読んでるもんじゃ??」

ごめん、おばちゃん。私今まで歴史小説か推理小説かブラディードールシリーズか陰陽師しか読んで来なかった★

>web拍手レス
3月14日23:58  私も今回の大河、東洋様のオーラに圧倒~… の方
拍手&コメントありがとうございます。ここ最近の大河は薄口な方ばかりだっただけにああいう濃くてオーラ出しまくりの人は本当に輝いて見えますよね! まだまだ東洋様には活躍して頂きたいものです。松陰先生は酷いですよね。一度も逢ってないならまだしも……これで後々桂さんからも先生の話が出なかったから報われなさ過ぎる(涙)
乱歩地獄、漫画がいけたからこれもいけるかな? と思ってみたら特大大外れでした(苦笑)あれは多分乱歩作品を知らない人程楽しめるんじゃないかしらん…。でも思いました。乱歩作品は酷く危うい、けれど絶妙なバランスで完成しているから、下手に手を加えると簡単にぶっ壊れてしまうモノなのだと。いやぁ、でもここまで酷いとは……(泣)
そして復讐者。モトジマンから次期組長に任命された時点で千ちゃんは可愛い(?)新妻から起爆タイマーが作動した超特大爆弾へと変貌しちゃった訳ですが、明亮さんはこれを果たして無事解除出来るのか。楽しみ(?)にしていただけたら幸いです!


「芋虫」
これを見たくて借りたようなもんでしたが……なんだ、これ!=3

とりあえず、乱歩作品をいっぱい読んでんのねってのは伝わって来ました。「明智小五郎」「怪人二十面相」「屋根裏の散歩者」「指」「パノラマ島奇譚」私が分かるだけでもこれくらいあったもの。ただ、色んなもの詰め込み過ぎたせいで、「芋虫」の世界観ぶち壊し!

特に平井太郎。邪魔過ぎてしょうがない。全力でいらないでしょ、あの人。

この人が出てくるたびに話がぶった切られるし、言ってることもやってることも意味不明だし(中尉連れ出して、ホルマリン漬けにされた四肢見せて、鏡で中尉の姿を見せつけて、中尉の目を潰して)……一体何がしたいんだ。

あと中尉を芸術品だ何だ言ってましたが、全然説得力がない。だって具体的に何処がどう美しいのか何一つ言わないんだもの。

そもそもコレクションに欲しい! ってあんた手に入れてもどうするつもりなの? 時子さんみたいに肉欲の玩具にする気? でもちゃんと世話出来んのか。四六時中ついてないといけないんだぞ! 

この映画、どの話にも絶対一人美男子を出さなきゃならんみたいな感じだから無理矢理出したようですが、だったら須永中尉を美男子にして五体満足な時のシーンをいっぱい出せばいいじゃない。その方が普通にすっきりしたよ!

で、問題の須永夫婦。平井太郎の変質っぷりを引き立てるためかなんか知らないけど、物凄い改悪っぷりにドン引きしました。

特に時子さん。ただのヤンデレになってたし…。

日頃の中尉への態度もねぇ。全然愛が感じられない。

言い草は一々棘があるわ、中尉がちょっとでも抵抗すると鞭で引っぱたくわ、剃刀で髭剃るついでにいたずらに胸を切って怖がらせるわ……。

そして、極めつけは目隠し。

なんで目を隠すんだよ! そことっても重要でしょ! 中尉の目に浮かぶ感情を眺めながらまぐわうのが快感って原作では言って、と思っていたら……えええええええ! 時子さんは外科医で、旦那を戦場に戻したくなくて四肢を切断したから、まともに旦那の目が見れないって

なんでそうしたし。

どうしてそんな設定に変えちゃったのか。理解不能。
そしてさらに平井に旦那の目を潰されて、突然「私もあなたと同じムシになる」という結論に達するのも意味不明。

旦那を独占するために四肢切断して、いつも目隠ししてたんだから、今さらそんなにショック受ける訳ないと思うんだけどなぁ。

第一そんなことしたって何がどうなるのよ? 旦那に悪いと思ってるなら一生涯旦那の面倒を見るなり、ひと思いに楽にしてやるなりすればいいでしょう。そもそもあなたがそうなったってもう旦那には見えないし、お世話してあげられないし、その上自分共々平井のモンになっちまうんでしょう? いいこと一つもないじゃない。

なんて混乱していたら、いきなり始まる麻酔無しの四肢切断祭り。いやもう勘弁して下さい(泣)

と、こんなふうに時子さんが何処までも利己的で自分勝手だったもんだから、最後の中尉の「ユルス」が全然心に響かない。

あれは肉欲の玩具にしながらも殆ど四六時中中尉に寄り添って、それこそノイローゼになる程懸命に介護した事実があってこそ映える言葉でしょう?

ってか、そもそも目を潰したのは平井なのに、なんであそこで「ユルス」が出るのか。まったくもって意味不明。
 
あと、この「芋虫」で実感したのですが、乱歩作品を現代版にアレンジするものではないですね。
肉独楽が回るのは、やはり畳の上でなくては! それに舞台がただの廃墟じゃ開放的過ぎて、原作で感じた息苦しい閉鎖感が全然出てなかったし。

と、もうこれはホントに駄目駄目でした。

唯一良かったとすれば、顔も姿も完全な化け物になってしまっても目だけは人間的で、真っ直ぐで綺麗な目だったっていうのを大森さんが上手く体現出来ていたなと思ったことです。

どうしてあの目を隠す設定にしちゃったんだろ。本当にもったいない…。

因みに小林君。どうして女の子になっちゃったんだい?


「蟲」
多分この話が一番、原作に忠実だったと思います。
現代バージョンにアレンジしてたり、その他改変は色々ありましたが、とにもかくにも芙蓉さん役の緒川たまきさんが良かった!

もうほぼ原作通りの方ではないですか? 顔の造形描写なんて彼女を見て描写したんじゃないのってくらい。
生きてる時も蠱惑的な魅力溢れる美人さんでしたが、死んでからも匠が創り上げたお人形さんじゃないってくらい綺麗だった。

いやでもホント、緒川さん。物凄い体当たり演技(?)だったと思います。浅野さんもブリーフ一丁で頑張ってましたが、腐ってくとことか絵の具塗りたぐられるとことか(最後の膨張した姿は作り物?)……よくもまぁあそこまで。女優さん相手に制作スタッフも容赦ないですね。まぁでもだからこそ、原作に近づけた訳ですが。

と、芙蓉さんには文句ないんですが、愛蔵さんは……ねぇ。
柾木愛蔵という人間説明を極度の潔癖症ってだけで片付けたのがまずかったんじゃないかと思います。いや、そんなものじゃあの人の厭世病は説明出来ないよ。

どうして愛蔵が芙蓉に恋をして殺そうと思ったのか。そのへんをもうちょっと詳しく描くべきだった気がします。原作では芙蓉が友人とぐるになって思わせぶりな態度を取り、愛蔵を弄んだ過程があったからこそ、決死の覚悟で手を握ったのに嘲笑われた衝撃がよく伝わったし、その後殺意へと変わっていった流れを自然に感じられたので。

だから殺した芙蓉を抱き締めながら「ごめんなさい、あなたが憎くてこんなことしたんじゃない。あなたを守りたかったから、汚したくなかったからこんなことを」という科白もないなぁと思ったんですよね。

まぁでも一番許せなかったのは、ラストの「……あれ?」ですよ。

間抜けにも程がある。愛蔵、どうして生きてる!!!!!
ありゃぁ芙蓉さんの死毒で死んでしまったからこそ映えるラストでしょ!

死体を綺麗なまま保存しようと格闘するさまはどうかすると原作でも滑稽極まりない、ブラックジョークに見えなくもないですが、あそこまで軽くしちゃぁ……。


ということで全編にわたって突っ込みまくりの135分でした。

そして見終わって思ったことは、どの話も狂気に堕ちていく心理描写が皆無だったなということ。だってどの方も、最初から完全な狂人なんだもの。親近感も共感も糞もないです。

原作ではみんな最初は普通の人間で、そんな彼らが徐々に狂気へと転がり堕ちていく様が丹念に描かれていたのに。
それに本当はまともでいたいのにっていう葛藤もないし……この時点で乱歩臭の半分近くが削られてしまったんじゃないでしょうか。

乱歩作品は確かに人間の狂気を描いた話ですけど、全部が全部狂ってる訳じゃなくて、何処までいっても狂い切れない部分が必ず残っているんです。そしてその部分が別の部分が狂っていけば行く程悲鳴を上げて、完全に狂わせることを許さない。

その葛藤と苦悩が、おぞましくも物悲しく、切ない。それが乱歩作品の特徴であり、魅力の一つだと思うんですけどね。
それがどの作品も全く感じられなかったのが痛かった。

あと、どの狂気も忌まわしいと思いながらも堕ちずにはいられないという切迫感というか、魅力が見えなかった。

「火星の運河」は突然変わった自分の女の体を忌むべきモノとして見ていたし、
「鏡地獄」は鏡の魔力ってより人間の自己愛に焦点がいっちゃった感じだし、
「蟲」も愛蔵がどうして芙蓉を死体にしなければならなかったのかという説明を省いちゃったせいで、死体にあそこまで固執する意味が希薄になっちゃってたし、
「芋虫」に至っては、時子さんや平井太郎を筋金入りの狂人に描くことで「『芸術品』とか言っちゃってるけどあれは『狂人』の美的センス」と言わんばかりに「芋虫」の中尉の魅力(?)説明を完全放棄してるし。

それで思ったんですけど、もしかしてどの監督さんも乱歩先生がそれぞれの作品で見いだした、汚らしくも惹かれずにいられない美しいモノを、本当に汚いモノにしか見てないんじゃないかと…。

何か、ひたすらそれから目を逸らしてるか、別のモノで飾り立てるか、または覆い隠すことに終始しているようにしか見えないんですよね、どの話も。

本来なら汚くて醜くて怖い忌むべきモノのはずなのに、そこに美を見いだしてしまうのが乱歩作品の凄いところなんですけどね。そこを否定しちゃぁねぇ……。

で、それがまたさらに乱歩臭を半分近くカットしてて、もはや「なんだっけなぁ~、なんだったっけっ?」(by 愛蔵)状態です。

ということで、映画自体には相当なぼろくそ感想になってしまいましたが、この映画は私に乱歩作品を読むきっかけを与えてくれた訳ですから、そこには感謝したいと思います。

素敵な作品で出逢わせてくれて、ありがとう!(←なんか、違う…)

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