忍者ブログ

壱号ブログ

雨月のブログです。BLサイト「イチゴウニゴウ。」運営中。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

私の中のあなた<ネタバレ>

「 心配しないで。ママは、きっと大丈夫よ 」


私の中のあなた

<あらすじ>白血病の姉のドナーとなるべく遺伝子操作によって生まれた妹が、姉への臓器提供を拒んで両親を提訴する姿を通し、家族のありかたや命の尊厳を問いかける。


これまた、崎原氏推薦作品なので予備知識皆無です。感動作ってのは聞いてたんですが、さてはて……。
因みにこれ。「THIS IS IT」の次(しかも、僅か十分後)に観たのが今でも失敗だったと思います、崎原氏。



さて、率直な感想ですが、キャメロン・ディアス、めっきり老け込んじゃっ…略 良かったです。

普通に泣けました。ただの登場人物が作り物めいた良い子ちゃんでなかったのが良かったんでしょうね(あと、「ほら、ここは感動シーンだぜ! さぁ泣け!!」と言わんばかりの演出でなかったのも)

話は最初から引き込みます。
癌に冒された姉・ケイトのドナーになるためにこの世に生を受け、幼い頃から姉への臓器提供を強いられてきた妹・アナ(11歳)が、「これ以上手術したくない!」と弁護士を雇う、なんてね。

母親は当然「あなたは姉さんが死んでもいいって言うの?!」と激怒しますが……これは、どちらの主張も共感出来るだけに悩ましい。

確かに母親の言うとおり一見、可能性は低いとしても助かる見込みがあるのに手術に協力しない妹は、姉を見殺そうとする冷たい子なんですが、姉のためとは言え、姉のドナーとして作られ、生まれた時から手術を強いられてきた妹の気持ちを思うと……。

「姉さんがいいなら、私はどうなってもいいの?」って思わない訳がない。
しかも、今回臓器提供してしまうと、日常生活に支障は出ないまでも一生無理が出来ない体になってしまうとなればねぇ。怒るのも無理ない。だから、姉との仲もぎくしゃくしてるに違いない。

……と、思わせておいて、実は――…。

こういうミスリード展開に弱いんですよね、私。
もうね、ブラボー、アナ!(←なんだ、それ)

また、この映画。アナだけではなく、他の家族それぞれの心情も描いているのですが、どの人達も葛藤を抱え、何かを犠牲にしながらも、ケイトに自分なりの愛情を一生懸命注いでいるんですよね。

でも、それが故に、衝突して、ぎくしゃくしてしまうのが、凄く切ない。

特に母親。薬の後遺症で毛が全部抜け落ちてしまい、「こんな醜い姿で外に出られない」と泣きじゃくるケイトに、自分も頭を丸坊主にしてみせて、「外に出ましょう」と誘うエピソードからも、娘のことをとても愛しているんだと分かるだけに、家族から孤立してしまう姿が何とも痛々しかった。

それから、あまりスポットの当たることのなかった、父親と弟。この二人もねぇ。言葉少なであまり多くを語りませんが、静かに見守る眼差しがとても優しかった。

そして、姉のケイト。
病気であり、子どもですから、情緒不安定だったり、ヒスを起こしたりするんですが、それでも一生懸命自分の運命を受け入れて、自分なりに注がれる愛情を返していこうとする姿はとても良かったです。生涯ただ一人の人、テイラーとの淡い恋物語もね。「君に逢えたから、僕は癌になって良かった」って言葉なんてね。王道だと分かっていても、ぐぐっときてしまった。

でも、一番来たのは終盤、母親と二人きりになって、「私はママのおかげでこれだけ幸せだった」と手作りのアルバムを渡して、「ママは大丈夫よ」と母親のように泣きじゃくる母を抱いたシーンですね。

こんないい子が死んじゃうのが悲しいからか。それとも親子愛に感動してか。判然としませんが、とにかくこのシーンは号泣でした。

ラスト、アナの姉への独白と共に終わった直後は哀しかったけど、ほっこり温かい気持ちになって……嗚呼、いい映画を観たな。

……と、思ったのですけどね。


時間が経ってよくよく考えてみると、この映画。決して、手放しに美談で片付けられない話だったと気づきました。


適合者がいないなら、産んで作る。
この発想のなんと恐ろしいことか。


この映画内では、姉のドナーとして生まれて来たアナは自分の存在意義に疑問を抱きつつも結構協力的で、家族もアナをまぁ普通の家族の一員として接していました。

だから、この話は実に綺麗な家族愛として見られた訳ですが、もしも、姉妹の仲が悪く、アナがひたすら臓器提供を拒否するような子だったら? 家族全員が母親・サラのように臓器提供を強要していたら? ……いや、もっと酷く、「あんたは姉さんのために生まれたんだから!」とでも言い出していたら? ……哀しい話ですが、映画の展開よりもこっちの方に転がる方が自然な気がする。

それでエスカレートしていって、以前に見た「アイランド」(自分の適合者、クローンを作って隔離して育てる)のようになってくんじゃないだろうか。
で、最終的には人間として扱わなくても臓器だけ手に入ればいいから、培養液の中で育てりゃいいじゃんになったりして。

そう考えると、この映画は手放しで良い話だとは言えないんですよね。いくら、娘を救うためとはいえ、サラたちのやったことは倫理的にしちゃいけないことだった。

アナに裁判を起こさせることで、この映画はとりあえず、その主張はしていましたけどね(まぁ、そのせいで、「姉ちゃん、妹に何もかも押しつけないで、自分で母親に主張して、妹を守ってやれよ」なジレンマを生み出してしまったけれど…)

なんて、色んな角度から見ることのできる、ただの感動作として片づけてしまうにはもったいない、面白い映画でした。

拍手

PR
  

COMMENT

NAME
TITLE
MAIL (非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS (コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます
 

TRACKBACK

TrackbackURL

カレンダー

12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

フリーエリア

最新トラックバック

プロフィール

HN:
雨月
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

カウンター

アクセス解析

Copyright ©  -- 壱号ブログ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]