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雨月のブログです。BLサイト「イチゴウニゴウ。」運営中。

   

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冬のお伽ばなし プレイ日記(猫の三家(攻))


彼の地は夢かまぼろしか
其はたそかれに属するところ
迷ひしもののみ おとずれん





山道で迷い、雪に路を失った男がやみくもに歩いていた時、凍えていた一羽の鶴と出会う。
あわれに思って、鶴をかき抱くと、あたりがにわかに晴れ、村が現れる。
その村は、村人が皆けものの形をし、ひとの言葉を解す、不思議な村だった……。



 素朴な雰囲気と胸にじわりと来るBGMに惹かれ、崎原氏から借りてきました。

 雪で閉ざされた異界の村に迷い込んだ主人公。しかし、彼は過去の記憶を失い、存在そのもの(というか彼の魂?)も希薄でこのままでは現世に戻れない。
 戻るためには、一冬、村で暮らす間に村人たちに「話」をしたり、「お手伝い」することによって、彼の弱った魂魄を満たさなければならない。それで、一緒に暮らすことになるけれど、雪解けとともに元の世界に戻っていかなければならない。

 …ってな、要は○ンジェリークに近いシステムです。

 けれど、○ンジェリークと大きく違うのは、これは悲恋のゲームであること。
 なんとこのゲーム。一冬の暮らしの中で、攻略対象といい仲になったとしても、春になったら絶対に別れなければならないのです。

 まず、魂魄を満たして村を出ていった場合。もう村に戻ることは出来ず、二度と逢うことは出来ません。
 かといって村に留まれば、少しの間だけは一緒にいられるのだけれど、春になったら、雪が春の日差しに溶けるように、主人公の命が消滅して死んでしまう。

 ……つまり、どうやってもハッピーエンドにならない。

 嗚呼。なんと、哀しくも美味しい設定なんでしょう。


 そして、もう一つの違い。其れは主人公。
 ○ンジェリークの思わず殴りたくなるような主人公と違い、この主人公・タツさん(デフォルトネームで変更可能)は凄く好感が持てました。
 物音がしても「あら? 森の妖精さん?」なんてメルヘンなことは言わないのがまずいい!! 容姿も性格もそんなに受受しくないし、酷く穏やかで温かい。けれど、何処か影があり、儚げで……いい! こういう人大好き!! もしかしたら、このゲームの中で一番好きかもしれない!!

 さて、そんなタツさんのお相手の筆頭候補は断然。崎原氏一押しの「雪牙」さんv
 どうして狐の朧を攻略対象に入れなかったのか、小一時間じっくり問いただしたい
 速攻で落としたい!!!!!!!!!!!!! ・・ところ、ですが、雪牙さんに激嵌りして他のがプレイできなくなったらそれはそれでもったいないような気もするので、別の人から試しにやってみることに。

 とはいえ、雪牙さん以外はほとんど眼中になかったので(酷)一体誰をやろう~? と漠然とゲームを進めていたら、不意に過去の記憶を少しだけ思い出し、感情が溢れて泣いているところに、何故か完全にアウトオブ眼中だった猫の三家が現れ、「泣いておしまいなさい」と抱き締めてきたので、こりゃ渡りに船! とばかりにまず、彼から攻略することに決定!
 大した期待もせずにプレイし始めた訳です……
 
 が! これが思わぬ伏兵でした。

 いい!! 三家、いい!!!!!!!!!!!

 受なら速攻さよならキャラなのですが、攻になった途端。ツボに嵌りまくり。
 普段は、怖い出戻りの妹に頭の上がらない、ぽやや~んな天然じじ臭眼鏡なくせに、実はかなり大人な男だったので吃驚しました(外見が可愛らしいので騙されていましたが、彼は歳を取った猫が化け物になった猫又。実は物凄く年上さんだったのです)

 主人公への恋心を自覚してからは妙に男臭い哀愁を漂わせます(それがいい!)
 特に「好きなんだ」と主人公が告白してからラストにかけての畳込みがたまりません。 大人特有の躊躇う素振りを見せますが、結局はタツさんを包容力たっぷりに猫ッ可愛がり。
 本当は本より重いものは持てないくせに、主人公を御姫だっこしたりするし(とはいえ、後で息切らしてましたが(笑))
 んで、攻める時はむっつりいけいけ。最高です。

 が、ここで分岐点。この恋は一冬の思い出と割り切って、三家と永遠にさよならするか。それとも、春までの短い時を三家と生き、雪と共に消滅するか。

 ……正直。ここで「さよなら」選択を押すなんて出来ない!
 だって、外の世界の記憶もなく、この村での生活こそが人生である、今のタツさんには…!(この時点で相当感情移入してます)
 
 そして、元の世界に戻ることを捨て、三家と短い時を過ごすことに決めた後の三家が哀しい。

 おそらくは彼は一番良識的でお堅い常識人であろう人なのです。
 そんな彼が、余命幾ばくもないタツさんを自分の蔵に閉じこめて、時間の感覚がなくなる程抱き続け(しかも嫌に明るく)、ついには腕の中でその魂を消滅させてしまったさまは酷く切なくなりました。

「……タツさん………逝ったのですか?」

 真っ暗にブラックアウトした画面に響くこの呼びかけで、じわりと来ました。
 掌に残ったタツさんの欠片を舐め取る描写もねぇ…どれだけ好きだったんだろうと思うと(涙)

 そして、一人きりになってしまった彼が見上げるのは、満開の桜。

 嗚呼、なんて切ないんだ。・゚・(ノД`)・゚・。

 ここまで胸に哀しくもじわりと来たBLは初めてです。
 もう……他のやったら、どうなっちゃうんだYO! 絶対涙腺崩壊だ!!

 ということで、次回は鶴の彼にトライです……! 

 

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